川上 咲紀/ Branch OTTO.YAKUIN
コラム「誰かのために作るご飯」
毎朝7時に起き、ケトルでお湯を沸かしている間に顔を洗い、歯を磨く…
白湯を飲みながら、主人のお弁当と朝ごはんの支度を進める。
朝食を摂る傍らで朝の情報番組を見ながらコーヒーを淹れ、
ベランダの家庭菜園にお水をやり、8時前にお見送りをし、
わたしの一日が始まる。
早いもので、結婚してから二人の生活が始まりもう8ヶ月が経っていた。
すっかり日々の生活のルーティンが決まってきて、
毎日誰かのために進める家事が心地よくなってきた。
地元の大学を修了し、実家を離れて大学院に進み、同時に一人暮らしが始まった。
もともと家事は嫌いではなかったし、料理は大好きだった。
冷蔵庫の中を見て、作れるものを考えて、一通りの献立を考えるのも苦手ではない。
だけど、なんでだろう、
自分の作るご飯には飽きが来る。
22年間食べ続けたお母さんのご飯には飽きたこと無いのに…
面倒なときは納豆に卵でOK。
朝なんてトーストとコーヒーだけでいいや。お弁当は野菜ジュースだけ。
と、自分のためのご飯は手を抜きがちになった。
こんな食生活と大学院の多忙な5年間で何回も倒れたり、点滴に通ったり、生理不順で通院したこともあった。
人の健康について研究してきたのに、自分の健康は顧みない生活だった。
医者の不養生とはまさに。
けど、そんなわたしが、主人のためならバランスの良い食事を考え、
毎日お弁当を作り、夜ご飯も毎日作ることができる。
自分のためにはできないことも人のためなら続けることができるし、
そのおかげで自分も健康になる。
それはひとえに、
「いただきます。」「ごちそうさま。」「今日も美味しかったよ。」「いつもありがとう。」
この言葉のおかげ。
こちらこそ、いつもいっぱい食べてくれてありがとう。
さあ、今日は何を作ろう。
